社説[埋め立て申請検討]地域社会を破壊するな

政治

2013112 0945

(4時間11分前に更新)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の最終版となる補正評価書の公告・縦覧が1月下旬に終了する。これを受け、政府がいつ県知事へ公有水面の埋め立てを申請するかが焦点となっているが、政府内では安倍晋三首相が訪米する前の2月申請も念頭に時期を検討していることが分かった。

 

 普天間問題の進展をオバマ政権にアピールする狙いがあるという

 

 民主党から自民党に政権交代しても、辺野古移設は「事実上不可能」という県の姿勢に変わりがないことを正確に米政府に伝達するため、又吉進知事公室長が訪米しているさなかである。

 

 県と県議会、全41市町村長と全41市町村議会が辺野古に反対し、県外移設を要求しているのが沖縄の現状である。日本政府は、米国の歓心を買うため、どこまで「対米従属」を続けるつもりなのか。沖縄は、日本政府が米国に差し出す「お土産」なのか。

 

 政府が安倍首相の訪米前に埋め立て申請をするならば、沖縄との亀裂は決定的なものとなろう

 

 沖縄の反応を探るための政府の観測気球との受け止め方もできる。「オール沖縄」で辺野古移設に反対している現状を内部から分断していく狙いである。

 

 埋め立て申請は、民意を無視した暴挙であるだけでなく、建設業者など一部の容認派を勢いづかせ、地域の対立を深めるものだ

 

        

 

 これから、中国脅威論と那覇空港第2滑走路をはじめとする公共事業を絡めた激しい揺さぶりが予想される。

 

 沖縄に基地を押し込めようとするこのような政府の理不尽な基地政策に対抗するためには県内の結束を維持することが最も重要だ

 

 1950年代の土地接収をめぐる「島ぐるみ闘争」で行政・議会・住民は「土地を守る4原則」を掲げ、米側と交渉した。基地問題をめぐる現代の「島ぐるみ闘争」は、次の4原則が民意の最大公約数といえるのではないか。(1)辺野古移設反対(2)オスプレイ配備反対(3)日米地位協定見直し(4)差別的な基地押し付け政策反対-の四つである。

 

 新たな4原則を貫徹するには、さまざまな取り組みを愚直に、県内だけでなく、国内外でも繰り返す必要がある。今月27、28日の41市町村長らによる東京行動もその一環である。あきらめずに継続することが大切だ。

 

        

 

 森本敏前防衛相は普天間の移設先について「軍事的には沖縄でなくていいが、政治的には沖縄が最適」だと認めた。差別的発言以外の何物でもない。

 

 尖閣諸島をめぐって日中両国の緊張が高まっているだけに、本土ではオスプレイの沖縄配備や普天間の辺野古移設を「やむを得ない」と考える人たちもいるが、海兵隊は日本を守るために沖縄に駐留しているわけではない。

 

 政府は抑止力の維持を強調するが、沖縄駐留海兵隊の抑止力はそもそも蜃気楼(しんきろう)のようなもので沖縄にいなければならない理由は見いだせない。