「欠陥機」配備 阻止へ超党派で動く時だ

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 戦没者のみ霊(たま)と遺族、平和を請い願う県民を傷つけて恥じない宰相をこの国は抱えたようだ。

 野田佳彦首相は、米軍が7月に普天間飛行場に配備を予定する垂直離着陸機MV22オスプレイに関し、沖縄全戦没者追悼式が執り行われる6月23日の慰霊の日、仲井真弘多知事に直接理解を求める検討に入った。

 沖縄が鎮魂に包まれ、非戦を誓い合うこの日、県民の大半が反対する欠陥機種の配備を認めるよう要請する。

 無神経を通り越し、沖縄社会への挑戦に近い愚行ではないか。

 首相と首相を取り巻く官僚たちは、沖縄県民には感情がなく、「政治的無人島」と見なし、その反応を見極めるつもりなのか。

 世論調査で9割の人々が、そして95%の市町村議会がオスプレイ配備に反対の意思表示をしている。民主主義社会の下でどれほど重大なことかに思いをはせるべきだ。

 県内41市町村議会のうち、39議会がオスプレイ配備反対と計画撤回を求める意見書や決議を可決し、残り2村議会も検討している。

 本土復帰40年の世論調査からも、配備反対は県民の総意と見ていい。

 開発段階から墜落事故が頻発し、4月にもモロッコで墜落したオスプレイが沖縄の空を飛ぶ交うことを拒む民意は、非常に固い。

 それを押し切り、米軍は「世界一危険」と称される普天間飛行場への配備強行に突き進む。ここへきて、米側に唯々諾々と従う日本政府の無為無策が際立ってきた。

 もはや、沖縄に「空飛ぶ脅威」を押し付ける主体に日本政府を含めるしかあるまい。配備の主語は「日米両政府」と化した。

 就任して間もない森本敏防衛相は「わが国にとって害にならない」と配備の必要性を強調した。さらに、4月の墜落事故の調査報告が配備後にずれ込む可能性に言及し、県民の反発を買っている。

 墜落したばかりの飛行機の詳細な事故原因の解明が中途半端なまま、ためらいなく配備することは、県民の命の重さを軽視する表れだ。

 仲井真弘多知事はオスプレイ配備に「反対」を唱えるだけでなく、日米政府に直接働き掛ける強い行動を取るべきだ。県出身・選出の国会議員もしかりだ。

 事は県民の命に関わる。民意が明確な以上、市町村長、議会、経済界、労働界などには超党派で配備阻止に向けた行動を求めたい。